MusicalFidelity A−1(Reference). 11台目 修理記録
平成24年5月6日到着  6月15日完成
A. 修理前の状況
  • 1992年に購入いたしました(いわゆるワンオーナーになります)。
    これまで2回ほど、セレクタ接触不良、ボリュームのガリ発生で、購入店→正規代理店を通じて修理をいたしました。
    2回目の修理は、今から10年ほど前になりますが、それ以降、目立った不具合もなく使用しておりました。
    修理時にコンデンサの交換が行われているかは、未確認です。
    また、当方の使用状況としては、毎日何時間も電源を入れるということはしておりませんし、特に夏場の使用は控えておりました(なんと言っても、あの熱さですから)。
    ところが先日、(おはずかしいハナシですが)スキーで左腕を骨折し手術のため入院していたのですが、iPodでアナログLPを本機経由でデジタル化した音源を聴いていた際、どうも左右のバランスがおかしい(左チャネルが小さい)ように思えました。 退院後、あらためて録音機材であるYAMAHAのHDDレコーダーの録音レベル表示なども参照しながら聞き直すと、やはり左チャネルのほうがレベルが低くなっていました。
     そして、このチェックをしている最中、今度は時々、右チャネルの音が全く出なくなったりしました。
    急遽、別のアンプを購入し同一音源にて同様にHDDレコーダーへ送ったところ、今度はバランスは問題ありませんでした。
    現在、当方で確認している症状としては以上です。 このアンプの独特の音、特に「声」のつややかさ、艶かしさは、他ではなかなか得られないものです。 よって、修理しながら、可能な限り聴き続けたいと希望しています。


B. 原因
  • 電解コンデンサー容量抜け、各部経年劣化。

C. 修理状況
  • 電解コンデンサー交換。
    配線手直し、補強。
    経年劣化による各部ハンダ補正。
    入力切り替えSWカップリング交換。
    整流ダイオード交換。
    RCA端子交換。
    SP端子交換。
    電源3Pインレットに交換。


D. 使用部品
  • 電解コンデンサー(オーディオコンデンサー使用)        31個。
    フイルムコンデンサー                          4個。
    タイト製のユニバーサル・カップリング                1個。
    整流ダイオード                              4個。
    RCA端子                              6組12個。
    SP端子                                2組4個。
    3Pインレットソケット                           1個


E. 調整・測定

F. 修理費  80,000円   オーバーホール修理

S. MusicalFidelity A−1. の仕様(マニアル・カタログより)

A. 修理前の状況
A11. 外観 前から見る。
A12. 外観 前右から見る。
A13. 外観 後から見る。
A14. 外観 後左から見る。
A15. 外観 上から見る。
A16. 外観 右半分を清掃後、 上から見る。
A17. 点検中、 上蓋裏の放熱シリコングリス。 
A21. 外観 下から見る。
A22. 外観 下前から見る
A23. 外観 下前左から見る
A24. 外観 下後から見る
A25. 外観 下後右から見る
A31. 点検中、 上蓋を取り、上から見る。 
A32. 点検中、 基板の止めネジが無い!
A33. 点検中、 基板の止めネジが無い2!
A34. 点検中、 電源電解コンデンサーの被覆が熱で剥け始めている。 
A35. 点検中、 入力切り替えSWがかなり揺れる
           カップリングも安い物で、「ユニバーサル型」でないので、この「ブレ」を吸収しない
A36. 点検中、 前回修理の修理標。
A41. 点検中 SP接続端子と電源コード
A51. 点検中 入出RCA端子郡
A52. 点検中 入出RCA端子郡、 テフロン絶縁のRCA端子と交換出来ます。
A61. 点検中 電源電解コンデンサーの比較、中=25V/10000μ、両側=交換する、25V/15000μ。
C.修理状況
C01. 修理中 基板下の押さえブシュ、 溶けている。
C02. 修理中 基板下の押さえブシュ跡、塗装を犯しているので、シンナー等の溶剤を使ったブシュ?
C03. 修理後 基板下の押さえブシュ跡、 後々の為、塗装する。
C11. 修理前 基板
C112. 修理中 R側終段TR(トランジスター)
C113. 修理中 L側終段TR(トランジスター)
C12. 修理後 基板 電解コンデンサー31個、ダイオード4個、フイルムコンデンサー4個交換
C13. 修理前 基板裏
C14. 修理(半田補正)後 基板裏、 半田を全部やり直す。
C15. 完成基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C16. 完成基板裏 スペンサーを取り付ける
C17. 修理中 メインVR清掃・点検、カシメ構造なので清掃のみ
C21. 修理前 AMP基板
C22. 修理後 AMP基板
C23. 修理前 AMP基板裏
C24. 修理(半田補正)後 AMP基板裏、 半田を全部やり直す。
C25. 完成AMP基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C31. 修理前 R側AMP基板
C32. 修理後 R側AMP基板
C33. 修理前 R側AMP基板裏
C34. 修理(半田補正)後 R側AMP基板裏、 半田を全部やり直す。
C35. 完成R側AMP基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C41. 修理前 L側AMP基板
C42. 修理後 L側AMP基板
C43. 修理前 L側AMP基板裏
C44. 修理(半田補正)後 L側AMP基板裏、 半田を全部やり直す。
C45. 完成L側AMP基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C51. 修理前  EQ基板
C52. 修理後  EQ基板
C53. 修理前  EQ基板裏
C54. 修理(半田補正)後  EQ基板裏、 半田を全部やり直す。
C55. 完成 EQ基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C61. 修理前  MC基板
C62. 修理後  MC基板
C63. 修理前  MC基板裏
C64. 修理(半田補正)後  MC基板裏、 半田を全部やり直す。
C65. 完成MC基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C71. 修理前 電源基板
C72. 修理後 電源基板
C73. 修理前 電源基板裏
C74. 修理(半田補正)後 電源基板裏、 半田を全部やり直す。
C75. 完成電源基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C81. 修理前 +側電源基板
C82. 修理後 +側電源基板
C83. 修理前 +側電源基板裏
C84. 修理(半田補正)後 +側電源基板裏、 半田を全部やり直す。
C85. 完成 +側電源基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C91. 修理前 −側電源基板
C92. 修理後 −側電源基板
C93. 修理前 −側電源基板裏
C94. 修理(半田補正)後 −側電源基板裏、 半田を全部やり直す。
C95. 完成 −側電源基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
CA1. 修理前 SWのカップリング、「ユニバーサル型」でないので、「ブレ」を吸収しない
CA2. 修理後、タイト製のユニバーサル・カップリングを使用、 シャフトの錆も出来るだけ落とす。 
CA3. 修理中 絶縁シート+押さえが少し浮いている?
CA3. 修理中 絶縁シートが小さい、これではPSE法の耐電圧1000Vに耐えられるか?
CA4. 修理後 電源トランス、大型の絶縁紙を敷く、2枚重ねる。
CB1. 修理前 入出力RCA端子
CB2. 修理(交換)後 入出力RCA端子、太いケーブルを使用出来るよう、接着材を使用する。
CB3. 修理前 入出力RCA端子裏
CB4. 修理(交換)後 入出力RCA端子裏、太いケーブルを使用出来るよう、接着材を使用する。
CC1. 修理前 SP接続端子、電源コード
CC2. 修理中 3Pインレット取り付け加工中、ポンチを打ち細いドリルで穴開け。
CC4. 修理後 SP接続端子、電源コードをインレットソケットに交換
CC5. 修理前 SP接続端子裏、電源コード裏。
CC6. 修理後 SP接続端子裏、インレットソケット裏、太いケーブルを使用出来るよう、接着材を使用する。
CC7. 修理中 軸やスペサーも錆止めをする、上軸処理済み。 
CD1. 交換部品
CD2. 交換部品、 剥けた電解コンデンサー
CE1. 修理前 上から見る
CE2. 修理後 上から見る
E. 測定・調整
E1. 出力・歪み率測定・調整
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
        表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
        表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E21. CD,50Hz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.22%歪み。
                 L側SP出力電圧15V=28W、 0.29%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. CD,100Hz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.23%歪み。
                  L側SP出力電圧15V=28W、 0.27%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E23. CD,500Hz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.25%歪み。
                  L側SP出力電圧15V=28W、 0.25%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. CD,1kHz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.24%歪み。
                 L側SP出力電圧15V=28W、 0.23%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E242. CD,1kHz入力、R側SP出力電圧10V=12.5W、 0.09%歪み。
                  L側SP出力電圧10V=12.5W、 0.085%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. CD,5kHz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.15%歪み。
                 L側SP出力電圧15V=28W、 0.15%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E26. CD,10kHz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.087%歪み。
                  L側SP出力電圧15V=28W、 0.088%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. CD,50kHz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.032%歪み。
                  L側SP出力電圧15V=28W、 0.030%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E28. CD,100kHz入力、R側SP出力電圧10V=12.5W、 0.69%歪み。
                   L側SP出力電圧10V=12.5W、 0.67%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
              この当たりから、フイルターが効いてきます。
E31. MM,50Hz入力、R側SP出力電圧14.5V=26.3W、 0.35%歪み。
                  L側SP出力電圧15V=28W、 0.21%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E32. MM,100Hz入力、R側SP出力電圧14.5V=26.3W、 0.42%歪み。
                   L側SP出力電圧15V=28W、 0.39%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E33. MM,500Hz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.37%歪み。
                   L側SP出力電圧15V=28W、 0.36%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E34. MM,1kHz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.34%歪み。
                 L側SP出力電圧15V=28W、 0.33%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E35. MM,5kHz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.25%歪み。
                 L側SP出力電圧15V=28W、 0.24%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E36. MM,10kHz入力、R側SP出力電圧15V=28W、 0.14%歪み。
                   L側SP出力電圧15V=28W、 0.14%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E37. MM,50kHz入力、R側SP出力電圧14V=24.5W、 0.044%歪み。
                   L側SP出力電圧14V=24.5W、 0.042%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E38. MM,100kHz入力、R側SP出力電圧10V=12.5W、 0.075%歪み。
                    L側SP出力電圧10V=12.5W、 0.074%歪み。
               「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
              この当たりから、フイルターが効いてきます。
E4. フルパワーなので、24V高速フアンが全回転でクーリング。
E6. 完成 24時間エージング。 左は「Dynaco Mark V. 3台目」、中は「Dynaco Mark V. 4台目」。
S. MusicalFidelity A−1. の仕様(マニアル・カタログより)
型式 Musical Fidelity A1
定格出力 20W+20W(8Ω)
入力感度/インピーダンス Phono MC= 0.2mV/120Ω
Phono MM= 2mV/47kΩ
CD、Tuner、Aux、Tape= 200mV/47kΩ
RIAA偏差 30Hz〜40kHz ±0.5dB
SN比 Phono MC= 55dB以上
Phono MM= 60dB以上
CD、Tuner、Aux、Tape= 80dB以上
高調波歪率 0.5%未満(8Ω、定格出力時)
消費電力 85W(連続)
外形寸法 幅408×高さ60×奥行249mm
重量 5.5kg
              mfa1-b-2z
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